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  • 2014/08/01
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最近の月例研究会での会長挨拶の言葉

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2014.7.11 第219回月例研究会 伊従会長挨拶の言葉


 本日はお忙しい所お集まり頂きまして有難うございます。お手元に、「独占禁止法審査手続に関する論点整理への意見」という資料をお配りしました。今年2月から内閣府で独禁法懇談会が開かれていて、色々な論点整理がなされているのですが、それらの論点整理に関してパブリックコメントが募集されていました。既に経団連ほか各関係から意見が出されていますが本日(7月11日)当協会を代表して私が提出を致した資料です。

 昨年末の改正独禁法で、付則で独禁法違反の審査の段階で企業の防御権、弁護が十分かどうかを検討しなさいということで、国会の付帯決議ではそれを前向きに検討するということでした。

 今は経済が非常に複雑になっています。市場に独禁法を適用するのですが独禁法は「競争を制限したか否か」を判断する、大変抽象的な法律なのですが、企業・市場の実態を正確に把握して規制されなくては困る。企業の方は、法律の専門家としての弁護士に相談しながら、必要な時は立ち会ってもらって対応する、そうした手続が保障される必要がある。


 独禁法47条に審査手続が規定されていて、任意ではなくて強制的な審査権が書かれています。その中の資料提出命令や報告命令、これらは期間の余裕があるから企業としても落ち着いて考えられます。
困るのは立入検査と供述調書。これは任意ということになってはいるけれども実際には公取に呼ばれ、出頭を断ることはできません。供述調書を作る場所も指定されて、そこは密室です。必ずしも任意ではない。


誘導尋問は禁止されているはずですが供述調書を取るためには前もって審査官のところで準備されていて、そうした質問に応じて答えるという形で作成されています。審査官の筋書きが入っているということも考えられます。
供述調書は、法廷で争った場合に証拠として使われる場合があります。嘘をつくと罰則がかかる宣誓証言がついていても、例えば審査の早い時期に本人が喋って押印しているとなると、こちらの方が優先されて、違反だと認定されている。
そういうことで、取り調べ方について非常に問題があると、意見書ではそれらのことを指摘しています。最初から弁護士がついて、企業の立場からの意見も反映して、つまり多角的に両面を見て実態を正確に把握して、実態に則した独禁法の運用をして頂きたい、という趣旨の意見です。


 アメリカでは今、独禁法運用は非常に厳しい。政策的なことに関しても日本はアメリカの真似をして課徴金などを上げていっている。そうであれば手続面でも同じにしてほしい、ということです。


実体規定の方に皆さんは関心があると思いますが、独禁法はむしろ手続の方が重要で、今度の改正は、独禁法にとっては非常に重要です。アメリカでは独禁法は判例法で、裁判所で決まっていく。アメリカでの60年代ガイドラインでは、合併については25%超えれば認められないという規制を、約20年間、1000件近く続けていたのですが、現在では判例によって変わってきました。例えばボーイングとダグラスの場合など大型合併の場合で、100%でも認められましたがこれは法律改正ではなくて判例で変わった。判例法が優れているのは手続面です。


独禁法はアメリカが世界的にみても先例で、他の国もアメリカの運用を見習って具体的な規制を行なっています。ですから手続問題は大変重要なのです。今回のパブリックコメント募集は、この機会に勉強するという意味でも良い機会と思います。

 

 

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