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  • 2014/04/11
  • コラム
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第215回 月例研究会((H26.3.12)にて

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本日は皆さんお忙しい所お集まり頂き、有難うございました。
 昨年5月に出されていた、独占禁止法の改正法案が12月に成立しました。
  経緯をちょっとお話しますと、2005年の法改正で、アメリカの事前聴聞制度をモデルにしたような事前審判制度、要するに処分前に、不服があったら争える規程を削除しました。独禁法の執行手続を強化するという非常に強い要望があり、それに沿った形で課徴金を5倍にして、算定率も10%に、さらに再度の違反者には割増、それからリニエンシー制度という、情報を最初に提供した場合には課徴金を減免するということにしました。その時に附帯決議が付きまして、その規程については問題があるから見直そうと、内閣府に独禁法懇談会が出来て、2年間審議されました。会議は30数回されて議事録も全部残っています。
 2007年に報告書が出されて、独禁法の場合には準司法的な事前聴聞手続が必要だという提案をしたのですが、公取委はすぐに、事後審判制度を維持するという見解を発表しました。2009年に経団連が、被処分者がまた審判をされるというのはおかしいから、見直し案として、すぐに裁判所に行くべきで事後審判制度はやめてほしい、そしてもう一つは事前手続の充実をせよ、という要望を出しました。

 2010年の法案は審判の廃止ということを非常に強く言いました。公取は訴追機関ということで執行力を強化すべしと。これには独禁法の非常に多くの学者が消費者団体も反対していました。そして2013年の法案では、事前手続に関してちょっと曖昧になって、国会では11月に、衆議院と参議院で一日のうちに審議を終え、いずれも可決しました。

 衆議院経済産業委員会での内容を見ますと、ちょっとびっくりしました。公取と稲田大臣が答えているのですが、審判については「審判廃止」とは言わない。経済界から、審判官と審査官が一緒になってやっていることについて、不公正性という懸念を抱かれているので、その懸念を払底するためにやめる、こういう言い方をしていました。それともう一つ、杉本公取委員長の説明は、公取は今まで審判、を証拠に基づいて厳正中立的にやってきたので良いのである、ということです。ですから内容を見ると、事前聴聞手続はよいのだと、やめるのは、外部からの誤解があるので払底するためにやめる、こういうことでした。

 それで、今度の新しい意見聴取手続は、手続管理官がきちんと、証拠もとってやりますということで、期間もこれまでの2年以上かかっていたものから、短くすると。実質的には前と変わりないものだと思います。ただし、手続管理官は、委員会に対する報告だけで、自分の意見がどこまで言えるのかわからない。想定すべきだという意識があって、想定するにあたり証拠があるから、証拠の評価を入れるべきであると。結論を出さない、日程を入れるかはっきりしない、委員会は十分に手続管理官の報告書を斟酌しなければならないが、斟酌すべき内容が曖昧だということです。

 それから国会での附帯決議で、これは公取の答弁と改正問題担当・稲田大臣の対応を受けたものですが、事前手続を充実させる。手続管理官の中立性を確保させ、明確・確実な形にせよということです。
 また、付則で、審査手続の中で被処分者の弁護権を拡充するということで、弁護士の立会権、コピーの取得権などです。これについて見直しをしようと、内閣府に審議会が今月(3月)末に出来るようです。今後一年以内ということです。産業界にとって大事なことは、一方的に考えを言っていられない。争うことができるかどうか、事前聴聞手続ができるかが非常に重要です。アメリカでもEUでも、憲法のところで、軛処分される場合には必ず事前に争うチャンスを与えろと言っています。それは日本では守られていない。手続がきちんとしていないと、行政官庁の裁量の範囲内で、考えを押し付けられるだけになってしまう。内閣府の言っている「準司法的手続な聴聞手続」:準司法的というのは証拠に基づいて、ですから、証拠に基づかないものは処分できないと、こうはっきりさせなくてはならないのです。こうした重要なところで、これから一年間の審議会で色々チャンスがあると思いますから、企業の方でもいろいろお考えになると良いと思います。

 

 

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