研究講座とイベント

  • 2012/04/20
  • コラム
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第196回 月例研究会にて

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 最近の問題を2~3、お話ししておきます。日本では、価格カルテルに対してはアメリカやEUと同じです。今日のテーマの国際カルテルについてはどこも厳しいです。国際カルテルについては、各国の当局がかなり緊密に協力しているので、どこかの国でやると、要するにそれが日本でも取り締まられることになっています。日本では、今優越した地位の濫用の問題が非常に多くなってきているわけですが、これは私的独占などを含めて単独行為といわれています。単独行為と共同行為。カルテルなどは共同行為ですけれども、個々の企業がやるのは単独行為といわれますね。アメリカは、単独行為については非常に慎重です。といいますのは、企業の単独行為が競争の元になっているから、企業の単独行為をやたらに規制すると競争を抑圧することになるので、弊害がはっきりしている場合でないとだめだということです。裁判所も非常に厳しいです。マイクロソフトの問題なども、地裁でマイクロソフトの抱き合わせの問題について独禁法違反で企業分割となったわけですが、控訴審に行って、これは反競争的効果についての立証が不十分だからというので差し戻しになっているわけです。要するに、裁判所でも、競争が制限されるのか、競争が促進されるのかの区別を厳密にやりますから、非常に難しいです。ですから、優越した地位の濫用の問題は、アメリカは非常に慎重だということです。EUのほうが積極的ですが、一般的にいわれているのは、濫用行為というのは私的独占でやったらまず取り締まることはありません。購買力の内容です。ですから、日本でやっているのも、大規模小売店などが問屋さんに対して返品や買いたたきをするというようなこと。購買力の問題については、ヨーロッパを中心に各国でうるさいです。
ただ、日本では、これはわたし個人の意見になりますけれども、危険なのは優越的地位の濫用を非常に強調して、知的財産権の問題、ライセンス協定の問題や、フランチャイズ協定でも、本部あるいはラインセンサーが何かやると優越した地位の濫用だ、と。これをやると非常に混乱すると思います。日本で優越的地位の濫用を入れたのは、昭和28年の改正ですけれども、この時は百貨店の納入問屋に対する扱いが乱暴だと。百貨店と納入問屋というのは、江戸時代からあったから義理人情の世界で、だいたい契約なんてないわけです。要するに契約で内容を決めないで、売ってください、売ってあげましょう、と。今度は、これは売れなかったから返します、とか。その代わり、後で面倒みましょうね、というようなかたちです。百貨店の間の競争が激しくなると面倒をみないから、弊害が非常に出てきた。昭和28年はちょうどそういうときでした。それに対しては、契約もないからおかしいということで、濫用でやったわけです。ですから、下請法にしても、契約をしないさい、と。契約をしたときには値段がいくらかちゃんと決めなさい、と。決めた値段を買いたたいてはいけない、と。後で勝手に変えてはいけない、ということですね。当たり前のことをしている。ですから、外国の独禁法の学者が来て、それを聞いて、これは外国では裁判所でやることだ、と。なぜここではそんなところまで入ってくるのか、ということで怪訝な顔をしていたわけです。ですから、やはりどこの国でもそのような濫用がある。アメリカでも三越事件と同じようなメイシー事件というのがあって、返品などをやっていて、やったことがありますから、ないわけではないですが、あまりこれをやるのは危険ではないかという問題があります。本来独禁法というのは自由経済ですね。企業に自由に活動させることが重要なので、カルテルなどで競争者が協定して競争をやめるのがいかん、というので、それが単独行為にも来ているわけですけれども、アメリカの場合非常に慎重です。 
もう1つの問題は、合併の規制などは今アメリカでは厳しい。オバマ政権は独禁法強化ということを言って、合併の事件は非常に少なくてほとんどしていなかったのが、この数年間、毎年倍増です。ただ、事例は全国的なものは非常に少ない。地方的な病院の、合併して独占になるとか、私的独占についても同じように地方的な事件。今大企業の分野というのは、グローバル化して競争が激しいわけです。そこで、あまり合併の問題が出てくることはない。ただ、アメリカではそのようなかたちで、地方的な合併ということです。日本では、合併は、90年代は非常に厳しくて25パーセントを超えるとだいたいイチャモンをつけられたのですが、今は年に2件ぐらいです。ですから、非常に緩やかになっています。ただ、合併の審査のときに経済的な分析が多くなって難しいということで、審査も非常に慎重で、審査で困る。資料要求が非常に強い。これは最近アメリカのですけれども、中国の合併についても、規制される例は少ないですけれども、審査が非常に大変だというわけです。似たような問題が出てきたのではないかと思います。
最近の問題につきまして、日本と外国、特にアメリカと比較して、どのような点が似ているか、どのような点が違うかということだけお話ししました。

 

 

 

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